腹八分寄り道人生

なんてことない日常つらつら

徘徊と笑うなかれ

徘徊と笑うなかれ

徘徊と笑うなかれ

父の遺言でしかたなく始めた認知症の母の介護。24年にもわたる介護の日々のなかで、「なんで俺が」という気持ちは、いつしか人を思いやる優しさに変わった…。時にやりきれない介護の苦悩や葛藤をありのまま綴った著者の言葉が、介護する方をやさしく癒す珠玉の詩集。

悲しみも憤りも慈しみも やるせなさも、とてもリアルに迫ってくる。介護途中、心臓発作で亡くなった父上の無念はいかばかだったろうか。天国で「あの子もようやく一人前だねぇ」なんて夫婦で話しているのかな。

ずっと私は「できる」ことが本来の人間の姿だと思い違いをしていました。だから、認知症になって何もかもできなくなっていく母を見て、人間としてだめになっていると思っていましたが、母はだめになっていったのではなく、生まれた時のような「存在そのもの」に返って、その返っていく姿で私を育てていたのです。            あとがきより


先日の帰省で1年半ぶりに父に会いに行ったが、まっすぐに目を見ることすら出来なかった。駄目なんだ私は。