腹八分寄り道人生

なんてことない日常つらつら

てのひらの父

てのひらの父

てのひらの父

女性専用の下宿「タマヨハウス」に暮らす年頃の三人の女。弁護士を目指す涼子、アパレルのデザイナーとして働く撫子、そして不条理なリストラに遭い、人生にも道にも迷い続ける柊子。臨時管理人の過干渉によって、少しずつそれぞれの「足りない何か」が浮き彫りになっていく。

満足度は微妙だけど、最後まで読めた。

就活中の柊子が面接官に言われた言葉にズキッときた。

「永瀬さんは、一見すると明るそうだ。はきはきしていらっしゃるし、感じもいい。しかしどこか、装っている感じがしてしまう。本音が見えない。本当はなにを考えているのかわからない。だからなのか、見えない壁のようなものを感じてしまう。そう言われたことはありませんか?」
 断定的に言う彼を前に、一瞬言葉を失った。なにしろ言われたことはあったのだ。ごく親しかった人に、辻斬りのように言われた。柊子には、なんか、壁があるよね。

はは。わたしも言われたことがある。言った本人は憶えてないって言うんだけどね。
えぇ今の主人です。 会社の先輩後輩だった頃だから、かれこれ10年以上になりますか。そのときは見透かされた気がして「この人と関わるのはやめよう」と思ったけど、...縁があったんだろうねぇ。