腹八分寄り道人生

なんてことない日常つらつら

マザーズ

マザーズ

マザーズ

同じ保育園に子どもを預ける三人の若い母親たち―。家を出た夫と週末婚をつづけ、クスリに手を出しながらあやういバランスを保っている“作家のユカ”。密室育児に疲れ果て、乳児を虐待するようになる“主婦の涼子”。夫に心を残しながら、恋人の子を妊娠する“モデルの五月”。現代の母親が抱える孤独と焦燥、母であることの幸福を、作家がそのすべてを注いで描きだす、最高傑作長篇。

やっと読了。涼子の絶望に自分が飲み込まれてしまいそうで、とてもじゃないが読み進められなかった。単純に「希望」を示して終わらせてはいないところに安堵した。これで良かったんだという風に見えるが、実際は狂ったままだ。狂いながらも愛することを止めない。世の中矛盾だらけだ。それが現実それでいいんだ。やさしい上辺だけの言葉より、よっぽど励まされた。そんな自分もすでに狂っているのか。男性が読んだら女性性に恐怖するかも。少し上の世代も受け付けないだろう。  読む人を選ぶ作品だけど、間違いなく傑作。
涼子の叫びが苦しい。

私はリーフレットを畳むと小物入れに戻した。その場に座り込んで床に顔を押しつける。こんなに孤独だった事があっただろうか。ダイニングに行くとパソコンを立ち上げGoogleのトップ画面を表示させた。助けて助けて助けてと呟きながら「たすけて」と打ち込んで検索ボタンを押す。お門違いなページしかヒットしない。私を助けるものはインターネットにもない。携帯にもない。家庭にもない。自分の中にもない。多分そんなものは存在しない。

読み終わったら、坊が両鼻に柿ピーを入れてた。あほ可愛い、その姿で現実に戻ってこれた。ありがと。


そういえば、うちには『蛇にピアス』が三冊ある。二冊は頂き物。

蛇にピアス

蛇にピアス