腹八分寄り道人生

なんてことない日常つらつら

おいで、一緒に行こう

おいで、一緒に行こう 福島原発20キロ圏内のペットレスキュー

おいで、一緒に行こう 福島原発20キロ圏内のペットレスキュー

残された動物を救うべく、原発20キロ圏内へ向かった人々。全国からのボランティアも徐々に減り、残っているのは四十女ばかりだという。なぜ人気の絶えた土地に同年代の彼女たちが今も留まり続けているのか。著者が彼女たちに問いかける。なぜでしょう。

「それはやっぱり、母性でしょう」

報道カメラマンで、『のこされた動物たち 福島第一原発20キロ圏内の記録』の著者である太田康介さんにも問う。ペットレスキューをしている彼女たちの原点には母性があるようだが、男性である太田さんはどうなのか。

「あのう、じつは……私はですね、うちのカミさんから、おばさんって言われるんですよ」
「おばさん?」
「はい」
「まあ、つまり、その……母性ってことですかね」
「母性」
「ええ。(ペットレスキューの原点も)かわいそうって、ただそれだけです」

カイと静子さんの再会と、別れの場面はもう... ...。
数年前の少子化のニュースで、人間の「子ども」よりペットの犬猫の方が多いって。生きてる間に高確率で大きな地震は来るだろうし、そのときのためにもこの悲しい体験から学ばなければ。ずいぶん月日が経った気がするけど、まだ何も変っちゃいないんだということに気づかせてくれた一冊。

エネルギー安全保障の面からも、今すぐ原発全廃は非現実的だと思う。だけど、代替エネルギーの準備を整え、少しずつ廃炉(将来的には全部廃炉)にしていかなければ未来はない気がするんだな。ギリギリのところで持ちこたえる平和な日常なんて物凄い嘘くさいし、悲しい。どっちみちそんなに時間はない気はするんだけど。