腹八分寄り道人生

なんてことない日常つらつら

カマラとアマラの丘

カマラとアマラの丘

カマラとアマラの丘

廃墟となった遊園地、ここは秘密の動物霊園。奇妙な名前の丘にいわくつきのペットが眠る。弔いのためには、依頼者は墓守の青年と交渉し、一番大切なものを差し出さなければならない。彼らの“物語”から、青年が解き明かす真実とは。人と動物のあらゆる絆を描いた、連作ミステリー。

可愛らしい表紙に油断させられてしまった。重く哀しい人間と動物たちの物語は、一話一話がミステリー仕立てになっている。ゴールデンレトリーバー、ビッグフット、天才インコ、クマネズミ。動物の生態や医学や法律などなど、多方面の薀蓄が挿まれていて感心してしまうと同時に、一体この作者は何者なのかが気になった。快心の一作!今年の読み納め本にすれば良かったと思うくらい。でも読み納めは『64』に決めてるんだ。

「動物は宗教を持っていますか?動物は人間ほど怖がりじゃありません。飼い慣らされたペットは論外ですが、それ以外の自然動物はたとえ理不尽な運命でも、受け入れるしかない過酷な環境で暮らしているのです。人間だけがあがいて、なんでもいいから生きる理由を必死に探しているんですよ」