腹八分寄り道人生

なんてことない日常つらつら

ふくわらい

ふくわらい

ふくわらい

マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。25歳。  唯一の趣味は、暗闇でのひとり遊び―。

幼児らしく感情を表すこともなかった(おそらく自閉症の)定は、4才のとき初めてやった「福笑い」で人生で初めて大笑いをする。その翌年、母親が病死し、風変わりな父親と旅をしながら ちょっと(かなり)変わった幼少時代を過ごす。
変な小説だ。 
変な人ばっかりでてくるし、変なエピソードもそこらじゅうに散らばっている。    でも、いびつで優しい。色んな形の愛が詰まっていた。
悪役レスラー守口廃尊と定の会話がとても素敵だ。ガングリオンガングリオン。 守口廃尊が主役のスピンオフがあったら読んでみたい。

「もっとこう、モヤモヤとした、言葉にできないものがあるんだ。脳みそが決めたもんじゃない、体が、体だけが知ってるよう、言葉っちゅう呪いにかからないもんがあるんだよ、て、ああ、『言葉にできない』も、言葉なもんだから、ああ、もう、嫌んなるなぁ。嫌だあ。」
守口は、両手で頭をぐしゃぐしゃとかきむしった。甲は傷だらけで、ふしが目立ち、まるで老木のようだった。
「かわいそうにって言ったよな、おいらさっき。かわいそうって言葉で合ってるのかなぁ。わかんねぇなぁ。言葉ってもっとなんとかなんねぇのかよう。脳みそ使いたくねぇよう、考えるのは嫌だ、嫌だなぁ。」


西加奈子さんは可愛らしい方だけど、『さくら』はトラウマ本だ。

さくら

さくら