腹八分寄り道人生

なんてことない日常つらつら

喜嶋先生の静かな世界

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。

たった今、読み終わったばかりで茫然としている。
わたしが勝手にイメージしていたキャンパスライフとは違う、「大学・大学院」の生々しい実状内情が描かれていた。学ぶ喜び、追究し続ける喜びに溢れていて、羨望すら抱きワクワクしながら読み進めた。だから、マイウェイで終わって欲しかった。
声を出して笑いながら読んでたのに、こんなのって。どうすりゃいいのさ。     何を得て、何を失うのか。答えは出ているんだろうけど、わからないまま。


学問には王道しかない。それは、考えれば考えるほど、人間の美しい生き方を言い表していると思う。美しいというのは、そういう姿勢を示す言葉だ。考えるだけで涙が出るほど、身震いするほど、ただただ美しい。悲しいのでもなく、楽しいのでもなく、純粋に美しいのだと感じる。そんな道が王道なのだ。

そういえば、年の離れた従兄弟が某国立大の助手をしている。HPを見てきたら今も「助手」となっていたから、喜嶋先生と境遇は似ている。ずっと独身だし。    私が一人暮らし始めたときに有楽町でお好み焼き食べて以来だから、かれこれ10年くらい会ってない。彼も王道を生きているんだろうか。